便秘とダイエット

 

結論から先に言うと、便を出してもその分体重が落ちるだけで体脂肪は減りません。

 

「便秘を直せば痩せられる!」

 

「宿便ダイエットで5s痩せる!」

 

などと謳った便通促進型ダイエットも古くから存在します。

 

比較的最近の例では、コーヒー腸内洗浄が流行しましたね。

 

便や宿便なるものが体重を増やす原因になり、それを解消すれば体重、体脂肪は減るのでしょうか?

 

提唱者たちによると、たまった便を出すと3〜5sも体東が落ちるというのですが、これはかなり大げさな数字です。

 

というのも、成人の一回あたりの大便の量は100〜200g程度しかないからです。

 

試しに、排便前と排便後にご自身の体重を比べてみてください。

 

体重計に現れるほどの変化は見られないはずです。

 

 

便が大腸にある間、大腸は便から水分を吸収していくので便は徐々に軽くなりますし、便秘だと腹部(腹腔)の内圧が上がって胃腸が圧迫されるので、食欲と食事量が落ちます。

 

このため、3日分の便でも500gに満たない程度、仮に10日便通が滞ったとしてもせいぜい1s程度でしょう。

 

そう考えれば、数キロ単位で体東が落ちるというのが随分大げさだということが分かるはずです。

 

 

もちろん、便を排出すればその重さ分だけ体重は落ちます。

 

しかし、体脂肪が減ることはありえないのです。

 

宿便て?

 

さて、便とは違ったニュアンスを持つ「宿便」なるものは本当に存在するのでしょうか?

 

提唱者たちによると、「宿便とは排出されずに残った便が腸壁のヒダにこびりついて固まってしまったもの」で、これが肥満の原因になるそうです。

 

宿便というと、なんだか確立された専門用語のように聞こえますね。

 

しかし、実は西洋医学では使われない言葉であり、大腸内に宿便の存在を認めた医学者はいません。

 

西洋医学の医師の一部にも、宿便という言葉を使う方もいるにはいるそうです。

 

が、あくまでも大腸内に滞っている便を指す、便宜上の言葉として使っているようです。

 

どうやらこれは、東洋医学的な「概念」のようです。

 

毎日排便のある人であっても、大腸内に便があるのは普通のことです。

 

食べ物は大腸内を15〜20時間程度かけてゆっくり移動し、その間に大腸に水分を吸収され、徐々に便になっていきます。

 

1日3食を摂る普通の人であれば、次々と食べ物が大腸に送られてくるわけですから、大腸が空っぽになることがないのです。

 

内視鏡検査や手術のためなら、下剤を飲んで腸内を空っぽにする必要はあります。

 

しかし、それ以外の目的で下剤や淀腸を使うことは健康上決していいことではありません。

 

排便を促そうとして下剤や院腸を日常的に使用すれば、自力での排便力が衰えます。

 

下剤や院腸なしでうまく排便されなくなったり、下痢をしやすくなったり、肛門周辺の括約筋が衰えて便が漏れやすくなったりする恐れもあります。

 

そもそも、腸内洗浄を含め、院腸は基本的に医師により行われるべき医療行為です。

 

国内外には、医師が指導、監督する医療機関以外で腸内洗浄を行う施設がありますが、これは違法であって大変危険なことです。

 

挿入するチューブや器具が肛門や大腸を傷つけ、場合によっては死に至る危険性すらあります。

 

実際、日本国内でも2010年にコーヒー院腸という名の腸内洗浄を行っていた、自称治療師が医師法違反容疑で逮捕されています。

 

医師によって院腸が行われるにしても、あくまでも医師が健康上必要と判断した場合のみです。

 

自己判断で行う、日常的な院腸や下剤の使用による便通促進は摂食障害の典型的特徴でもあります。

 

体脂肪を減らしたいという人に対して便通促進型ダイエットをすすめるのは、問題を解決しないどころか、摂食障害を引き起こしかねないのです。

 

 

もちろん、1日1回程度の自然な便通があるのは大切なことです。

 

単純に便が数日たまれば、膨満感、不快感、腹痛が起こりますし、下腹が少しポッコリします。

 

また、便秘が日常化すると悪玉菌(腐敗菌)が増えて腸内環境が悪くなり、肌荒れや口臭の原因になりますし、それが長期間続けば大腸がんのリスクを高めることにもなるからです。

 

しかし、単に便秘を解消すると言っても、原因が異なれば自ずと対処法も異なります。

 

便秘の代表的なものに、ストレスなどによって直腸が緊張して起こる緊張性便秘と、大腸の働きが鈍って起こる弛緩性便秘があります。

 

前者であれば、リラクゼーションが有効ですし、水分を多く摂って便を柔らかくする必要があります。

 

しかし、それは後者にはあまり有効ではありません。

 

後者の場合は、リズミカルな歩行などの運動で大腸を剌激しながら、食物繊維を多く摂って便の「かさ」を増す必要があります。

 

日常的に便秘に悩んでいるのであれば、自己判断せずに、医師による診断を受けて適切な治療、指導を受けるべきです。

 

もちろん、繰り返しになりますが、便秘を解消しても体脂肪が減るわけではありません。