自動運動マシンの効果

 

昔は銭湯などの入浴施設へ行くと、必ずと言っていいほど脱衣所には電動でウェスト周囲をブルブルと振動させるベルトマッサージ機がありました。

 

数年前にも、これと似たような器具で腰に装着する電動ブルブルマシンが流行しましたね。

 

ほかにも電動式バイク、金魚運動マシンなど、機械が体を揺らしたり動かしたりする「受動運動ダイエット」にはさまざまなものがあります。

 

しかし、残念ながらどれも体脂肪を減らす効果はありません。

 

 

 

どういうことかを乗り物でたとえてみましょう。

 

自動車やバイクは、アイドリングをしている間もエンジンがガソリンを燃焼して回転しボディーを震わせます。

 

しかし、それらのマシンに外側から振動を与えたところでガソリンの消費が増えるわけではありませんね。

 

また、貨物列車で自動車やバイクを運んだところで、エネルギーを使うのは列車であり、自動車やバイクは全くガソリンを消費しません。

 

それと全く同じ理由で、受動運動マシンの動力で体を震わせたり運動させたりしたところで、人間の消費エネルギー量は全く増えません。

 

見かけ上は体が動いていても、エネルギーを消費するのは機械ですから増えるのは電気消費量のみ。

 

一応、心理的興奮や寒冷に対する防御といった例外はあります。

 

ですが基本的に、人間が自分の筋力を使って体を動かさない限り、エネルギー消費量、体脂肪の燃焼量が増えることなどありえないのです。

 

 

もちろん、筋肉や関節を他動的に動かすことに全くメリットがないわけではありません。

 

血行をよくしたり、筋肉をほぐしたり、関節の動きをよくしたりといった、マッサージやストレッチとしての効果は期待できます。

 

足がむくむ人は電動式バイクに乗れば改善するでしょうし、腰の筋肉が張っている人は金魚運動マシンを使えばほぐれることでしょう。

 

しかし、それと体脂肪を減らすこととは別物なのです。

 

血行がよくなったからといってエネルギー消費量が増えるわけではありません。

 

血液の循環がよくなり、酸素や栄養が運ばれやすくはあるものの、体を実際に動かさない限り、エネルギー消費量が増えることはありませんから、エネルギーを生み出すために必要な酸素や栄養の消費量は増えません。

 

 

 

受動運動マシンのひとつに、EMSという電気を流して筋肉を収縮させる器具があります。

 

かつて理科の授業で、電気を通したらカエルの筋肉が動く、そんな実験を経験したことがある人もいるでしょう。

 

これが証明するように、筋肉はそもそも電気刺激で収縮しますから、EMSを使った場合、受動運動ではありますが実際に筋肉は収縮しエネルギーを使います。

 

とはいえ、家庭用のEMSは低周波という微弱な電流しか発生しないので、当然筋肉の収縮もごく弱いもの。

 

しかも、機械で刺激できるのは全身に400以上もある筋肉の一部、せいぜい数個ですから、当然消費するエネルギーもごく少量です。

 

実際、EMSを使用しても筋肉の疲れは感じませんし、心拍数や呼吸数が上がることもありません。

 

もしEMSが、筋トレと同じ負荷で筋肉を収縮させるなら、仰向けに寝てお腹に装着して電気を通せば、上体が腹筋運動のように自動的に起き上がってしまうはずです。

 

でももちろん、そんなことは起きません。

 

ですから、EMSには消費子不ルギーを増やす効果も、筋肉を鍛えて基礎代謝量をアップさせる効果も期待できません。

 

EMSに期待できるのは、やはり他の受動運動マシンと同じく、マッサージ効果程度です。

 

 

それでも、エステ関係の方などは「実際に、EMSを使うと30分でウェストがサイズダウンします!」と断言し、モニターのデータを提示しています。

 

しかし、これにはちょっとしたトリックがあります。

 

私たちが立つか座っているときには、内臓が重力に引っ張られて下がるためお腹を押し出し、ウェストサイズ、特に下腹回りのサイズはアップします。

 

しかし、仰向けに寝ると内臓はダラッと全体に広がるため、ウェストサイズは減ります。

 

EMSをつけてもつけなくても、日常生活で立ったり座ったりしている人が30分も仰向けになれば、自ずとウェストサイズは減るのです(苦笑)

 

仰向けのまま、さらにお腹にゆるく力を入れ続けると、その後も無意識のうちにお腹に力が入りやすくなるため、EMSをつけたときと同様にウェストサイズの減少が起こります。

 

もちろんこれは一時的なもので皮下脂肪も内臓脂肪も減りませんし、筋肉の収縮も長くは続きませんから、その後普段どおりの生活に戻ればウェストは自然と元通りになります。

 

 

受動運動マシンの中で、実際にエネルギー消費量を増やしたり、筋肉を鍛えたりする効果がある程度期待できるのは乗馬型マシンです。

 

乗馬マシンに乗ってスイッチを入れると、前後左右に上半身が振られますから、これをこらえたり、元の姿勢を保とうとして、反射的に体幹やお尻、内腿周辺などの筋肉が使われます。

 

ただ、実際の乗馬のように足で体重を支える必要がないため、使われる筋肉の数も、消費する于不ルギーの量も通常の筋トレ、有酸素運動には及びません。

 

日頃、全く運動をしていない人が、運動を開始するきっかけとして使ったり、運動前のウォーミングアップとして使うならよいと思います。