揉むと痩せるの?

 

 

痩せたい部分を揉んだり擦ったりするマッサージ型のダイエットがあります。

 

外側からの物理的刺激で体脂肪が分解されたり消費されたりするならとても簡単で便利でよね。

 

ですが、もちろんそんな都合がいいことが起こるはずはありません。

 

これは、骨盤矯正ダイエットなどと同様、危険性はありませんが効果の出ないダイエットです。

 

 

脂肪細胞の分解は、物理的刺激とは無関係です。

 

体内のホルモンの指令によって化学的に起こりますからね。

 

食事量が不足したり、運動を行うことで血糖値が低下すると、血糖上昇ホルモンが分泌されるのは何度も説明してまいりましたが、そのうちのひとつ「アドレナリン」は全身の脂肪細胞に働きかけ、蓄えられていた中性脂肪の一部を分解して、遊離脂肪酸という形にして血中に放出するのを促進します。

 

そして血中に入った遊離脂肪酸は、筋肉や心臓などに到達してエネルギー源として使われることになります。

 

百歩も千歩も譲って、マッサージの物理的刺激で体脂肪が分解されるとしても、体内でエネルギーが不足しているわけではありませんから遊離脂肪酸は余ったエネルギーとして再び脂肪細胞に取り込まれます。

 

もし物理的な刺激で体脂肪が減るなら、椅子に座って圧迫され続けているお尻の脂肪はどんどんなくなっていくはずですが、もちろんそんなことはありませんよね(笑)

 

 

マッサージなどの物理的刺激による痩身を標榜するエステティックサロンなどでは、

 

●脂肪細胞を移動させる

 

●リンパの流れをよくして老廃物を流すことで細くする

 

●セルライトを分解して痩せる

 

といった宣伝文句が使われています。

 

残念ながら、どれも非科学的でありえないことです。

 

まず、脂肪細胞は決して移動しません。

 

脂肪細胞同士がつながっているのはもちろん、血管や神経も周囲に通っていますから、万が一、物理的刺激で脂肪細胞が剥がれたら内出血を起こしてしまいます。

 

マッサージによって一時的にその部位が細くなるのは、脂肪ではなく水分が移動するからです。

 

細胞の間は、血液から謝み出た細胞間質液という水分で満たされているのですが、水は比重が重いため、重力に引っ張られて下にたまりやすくなります。

 

ですから、立ったり椅子に座ったりして生活していれば、ふくらはぎなどの足の水分量が増えます。

 

これが、むくみの原因です。

 

したがって、マッサージによるサイズダウンはふくらはぎで顕著に起こります。

 

もちろん、それはあくまでも一時的なもので脂肪の減少とは全く関係ありませんから、その後また普通の生活をすれば、再び水分が重力によって下半身に下りてきて、1時間程度で元に戻ってしまいます。

 

このように、むくみは重力が起こすものであって、キャッチコピーで言われるように老廃物が滞ることが原因ではありません。

 

リンパ管のリンパ液が、体の各組織の老廃物を水分とともに体の中心部に運ぶことは間違いありませんが、「老廃物が滞るからむくむ」というのは順序が逆です。

 

むくむほど水分の循環が悪いと、老廃物の排泄がうまくいかなくなる、というのが事実です。

 

 

水分の循環についていいますと、リンパ管を通るリンパ液の量は血管を通る血液量に比べると微々たるもの。

 

体の末端の各組織や器官でリンパ管が吸収する水分は、血管が吸収するそれのわずか10%程度しかないのです。

 

したがって、仮にリンパの流れがよくなったところで、老廃物の滞留が劇的に改善されるわけではありません。

 

水分の循環をよくしたいなら、軽い運動やマッサージ、入浴などで血行をよくすることが効果的です。

 

 

セルライト

 

次に、いわゆるセルライトについてお話しします。

 

体脂肪率が増え、BM125以上の過体重、あるいは肥満の状態になると、脂肪の多い尻や太もも、お腹の皮膚の表面がボコボコして見えます。

 

この現象は、主に女性に見られます。

 

それは、男性の場合は体脂肪が増えても、皮下脂肪よりも内臓脂肪の増える割合が大きいからです。

 

男性でもBM130を超える肥満状態になると、これが見られる人がいます。

 

 

このセルライトは、エステティックサロンなどの説明によると「体脂肪と水分や老廃物が固まったもの」だそうです。

 

しかし、医学的にそのような組織は確認されていない現実があります。

 

 

では、なぜ皮膚の表面に凹凸が見られるのでしょうか?

 

1つの理由は、単なる「シワ」の問題。

 

平たく滑らかな紙でも布でも、両手で包むように寄せていけばシワになりますよね。

 

そして、そのシワは整然と並ぶことはなく、不規則な凹凸を生みます。

 

皮膚および皮膚の下にある体脂肪についても同じことが言えるというわけです。

 

 

もう1つの理由は、もともと同じ部位にある脂肪細胞でも、大きさ(体積)の変化に多少のバラつきがあること。

 

体脂肪量が増えるときには、全身の脂肪細胞が血液を介してホルモンの指令を受け、血液から運ばれる脂肪(遊離脂肪酸)を受け取って少しずつ大きくなるのですが、同じ部位でも各脂肪細胞の増え方に多少の偏りがあります。

 

それは皮下脂肪内を通る血管の数が少なく、このため血管に近い脂肪細胞ほどホルモンの指令が届きやすく、かつ脂肪(遊離脂肪酸)を受け取りやすい一方、遠い細胞は逆に指令も脂肪も届きにくいからだと考えられます。

 

その結果、脂肪細胞の多いお腹、お尻、太ももなどの部位で体脂肪量が多くなるほど、凹凸が少しずつ顕著になっていくのです。

 

ですから、逆に体脂肪量を減らせば、大きくなりやすい脂肪細胞は小さくもなりやすいので、マッサージなど全く行わなくても皮膚は元に戻って自然と滑らかになります。

 

 

とどのつまり、マッサージ型ダイエットには体脂肪を減らす効果はありません。

 

しかしながら例外として、自分自身で揉むセルフマッサージの場合、実際にわずかに体脂肪が減ることもあります。

 

1〜2時間もマッサージをしていれば、マッサージをすること自体一種の運動でエネルギーを消費します。

 

その結果、痩せられるというわけです(笑)

 

ただし、セルフマッサージは大きな下半身の筋肉を使わず、主に上半身を使って行いますからエネルギー消費という点て効率が悪く、また手や肩などに相当な負担がかかります。

 

はっきりいって、おすすめできるものではありません。

 

マッサージの最大の効果は心身に対するリラクゼーション効果であり、これはダイエットにとって有効に働きます。

 

ストレスと過食には深い関係があり、マッサージによってストレスが軽減されれば、必要以上の食欲を抑え、体脂肪を減らす手助けとなりえるからです。