水太りを恐れない

 

水を制限するダイエットをやってはいけません。

 

水を控える水分制限ダイエットは、命を危険にさらす間違いダイエットの典型、摂食障害の入り口です。

 

漫画『あしたのショー』では、主人公矢吹丈のライバルである力石徹が水分を極限まで制限する減量シーンが描かれています。

 

力石は水道の蛇口を捻れないように固定したり、トイレの水を飲もうとして苦悩したりしながら減量に成功し、試合には勝利したものの、過酷な減量が原因となって試合後に亡くなってしまいます。

 

これはマンガの話ですが、実際にボクシングなど体重制の競技の世界では伝統的にこれに近い減量法が行われており、いまだに根強く残っています。

 

そして、一般の方の中でも、ダイエットをしようと水を制限する人は少なくありません。

 

 

しかし、このような水分摂取の制限は大変危険な行為です。

 

むしろダイエットでは、水を積極的に飲むべきです。

水分が必要な理由

 

ダイエット中にたくさん水を飲んだほうが良い理由は、私たち人間に限らず、生物が生きるために最も必要なものは「水」だからです。

 

そのため、人間は水さえ飲んでいれば最長10日〜2週間程度生存することができます。

 

しかし逆に、水を全く飲まなければ3日程度で命を失うと言われています。

 

生物にとって水の最も重要な役割の1つは、酸素や栄養素などの運搬です。

 

酸素や栄養素は血液によって各臓器、器官、組織に運ばれ、細胞間にある水(細胞間質液)を通して各細胞に行き渡り、水で満たされた細胞内を移動します。

 

ですから、水分が不足すると全身の細胞に栄養を運ぶことができなくなり、細胞は死んでしまうのです。

 

さらに、血液がドロドロになって血栓もできやすくなります。

 

 

もう1つは尿と一緒にアンモニアなどの老廃物を排泄するという役割があります。

 

水分が不足した脱水状態で尿がうまく出なくなってしまうと、体内に有害な物質が蓄積し、やはり生命の危機が訪れます。

 

それから発汗などで体温を下げるのも重要な水の役割です。

 

脱水して体温が上昇すれば、私たちの細胞は正常に機能することができなくなります。

 

 

まとめ

 

このように水は体にとって不可欠なものです。

 

私たちは水に対する強い欲求を持っています。

 

実際、減量をするボクサーは一様に「空腹よりも喉の渇きが圧倒的に耐えがたい」と言います。

 

確かに水を飲まなければ、体重は急激に落ちます。

 

しかしそれは、体内にたくさんの水分が存在するからです。

 

 

虚しいことに、このように命を危険にさらして我慢をしても、体に必要な水が不足するだけで体脂肪量は全く減りません。

 

水と体脂肪とは全く別物ですから、体脂肪を減らそうとして水を制限するのはナンセンスなのです。

 

ときおり、「私は水を飲むと太る」と言う方がいます。

 

しかし、水をいくら飲んでも体脂肪に変わることはありませんし、水が必要以上に体内に蓄積することもありません。

 

私たちの体内水分量は、一定になるように保たれているからです。

 

たくさん水を飲めば、尿や汗による排泄量は増え、水が不足すれば尿や汗の量は抑えられるのです。

 

 

逆に言うと、私たちの体は必要以上に水を取り込むことはできませんから、水太りの心配をして水を制限する必要は全くありません。(ただし、心不全や高度の腎機能障害などの持病がある場合を除きます)。

 

ダイエットするならば、むしろ水を積極的に飲むべきなのです。

 

水太りをする! という方の栄養チェックをしてみると、実際は水を飲んでいるのではなく、スポーツドリンクなどの清涼飲料水や甘い缶コーヒーなどを多く摂っているということが多いのだそうです。

 

つまり、水太りの正体は多くの場合、「水分中に隠れた糖類(砂糖や果糖)の摂り過ぎ」による体重増加と考えられるでしょう。